三重県津市にある「みえぎょれん」のサイトです。「みえぎょれん」や三重の海の紹介、お魚を使った料理レシピも掲載してます。

 

平成29年度・第39回 三重県海の子作品展 審査講評(三重県美術教育研究会 辻村岳)

 「三重県海の子作品展」は、本年度で39回目を迎えることとなりました。今年も例年通り、豊かな色彩を用い、海の生き物や、海に生きる人々の姿が力強く表現された作品が数多く見られました。

 小学校の部では、海での家族との思い出を素直に表現した作品や、明るく強い色調で海の生き物や漁船、あるいは海で働く人たちの作業の様子を、大胆かつ繊細に描いた力作が数多くみられました。
 小学校の部で知事賞を受賞した尾鷲市立尾鷲小学校6年の山口優菜さんの『ハラソ祭り』は、鮮やかな色彩を用いて、ハラソ祭りに関わる人たちの船上での様子が見事に描かれており、この作品を見る人に、実際に祭りに参加しているかと思わせるような印象を与えてくれるとともに、乗船している人々の表情を生き生きが伝わってくる素晴らしい作品となりました。
 また、三重県教育委員会賞を受賞した尾鷲市立尾鷲小学校6年の中﨑ちひろさんの『郷土の味 あぶりを守るおばあちゃん』は、丁寧に魚をあぶるおばあさんの地道な作業を見事にとらえ、海に生きる人たちの苦労やたくましさがあますことなく表現された素晴らしい作品となりました。

 中学校の部では、落ち着いた色調をベースに、海に生きる人たちの姿を、繊細な描写で熱心に表現した力作が数多く見られました。
 中学生の部で知事賞を受賞した、尾鷲市立中学校1年の岡ももこさんの『香ばしい匂いの子サバのあぶり作り』は、作業に集中しつつ、もくもくと小サバをあぶり焼くおばさんの様子が見事にとらえられており、その表情からは、この小サバたちを口にする人たちに少しでも幸せな気持ちになってもらいたいという思いを込めて作業している様子がしっかりと伝わってくる素晴らしい作品となりました。
 また、中学校の部で三重県教育委員会賞を受賞した鈴鹿市立大木中学校1年の紫垣美郷さんの『鳥も喜ぶ大漁』は、朝のすがすがしい空気の中で大漁の船が戻ってきたときに、そのことをたくさんのカモメがまるで祝福しているかの様子をとらえることに見事に成功した素晴らしい作品となりました。

 知事賞と三重県教育委員会賞の作品については、以上のとおりですが、他の入賞作品も素晴らしいものばかりで、各賞の決定については、かなり選考作業を難航しましたことをここに申し添えます。最後に、この作品展が今後とも長きにわたって継続され、発展していくことを願うとともに、三重の海が、いつまでも美しく、そして豊かなものであり続けることを祈って講評を終えることとします。