三重県津市にある「みえぎょれん」のサイトです。「みえぎょれん」や三重の海の紹介、お魚を使った料理レシピも掲載してます。

 

2022年度・第44回 三重県海の子作品展 審査講評(三重県美術教育研究会 後藤 みちる)

 第44回三重県海の子作品展に入賞された皆さん、おめでとうございます。
 新型コロナウイルスの流行により作品展への出品数が減少傾向にありましたが、今年は少し持ち直したように思われます。外出制限のなかった夏休み、家族や部活動等の仲間と久しぶりに海を訪れ、海の魅力を身体いっぱいに感じて作品展に戻って来てくれたのではないでしょうか。 審査をさせていただきながら、あらためて三重県の海の豊かさと、それを表現したいと思う子どもたちの内から湧き出るエネルギーに心を動かされました。

 小学校の部で三重県知事賞を受賞した尾鷲市立尾鷲小学校5年の長井梨帆さん『出港』は、今まさに港を離れて海へと向かう船を飛び交うカモメとともにていねいに描きました。鮮やかな色彩で夏の港を見事に表現し、水面が船の動きとともに波打つ様子がよく観察できています。 また、三重県教育委員会賞を受賞した志摩市立神明小学校3年の東山利香さん『大きい魚と小さい魚』は、ダンボールを使ったスタンピング技法を用いて魚や海底を表現しました。海の中を行き交うさまざまな魚たちを個性豊かな色で描き、ダンボールの凹凸からうまれた色の重なりや濃淡が美しい作品です。

 中学校の部で三重県知事賞を受賞した鈴鹿市立大木中学校3年の涌本菜那さん『頑張れ海女さん』は、海底に潜りアワビを採る海女さんの姿を躍動感あふれるダイナミックな構図で捉えました。アワビに伸ばした手を大きくデフォルメし、海女さんのしなやかさと力強さを表現しました。また、三重県教育委員会賞を受賞した尾鷲市立尾鷲中学校1年の石倉成実さん『蛸』は、自由自在に身体をくねらせたポーズの蛸と蛸壺を、細部にまでこだわった色づかいでていねいに描きました。蛸という生き物の持つ独特な姿や動き、触感さえも描き出しています。

 小学校の部では、港に浮かぶ船と水面に映った影を、まるで実際の風景を観ているように思わせる描写力で表現した大山京華さんの作品、水揚げされた魚を囲んで働く漁師たちの活気あふれる姿を、太い線と力強いタッチで描いた中井美結さんの作品、水揚げされた魚が漁師たちによって次々に市場に卸されていく様子を、その臨場感とともに描いた中尾樹さんの作品、海の生き物を画面いっぱいに描き、その多様さにわくわくする気持ちを素直に表現した榎本にこさんの作品が入賞しました。

 中学校の部では、穏やかな波の上に浮かぶ三艘の船を、光と影を意識しながら筆のタッチをいかして表現した中村乃愛さんの作品、朝日に照らされてまぶしいくらいに光る水面を、補色を用いることで強烈に印象づけた矢田果子さんの作品、海女である祖母の姿を目に焼き付け、働く祖母のたくましさと笑顔を描いた中森結愛さんの作品、光の反射や波のうねりによって変化する水面と三艘の船を、遠近法を用いて奥行きのある壮大な風景に仕上げた山本修史さんの作品が入賞しました。

 最後に、この作品展を通して海とともにある三重県民の心と暮らしがいつまでも豊かでありますことと、多くの命を育む海に感謝の気持ちを込めまして審査の講評と致します。