三重県津市にある「みえぎょれん」のサイトです。「みえぎょれん」や三重の海の紹介、お魚を使った料理レシピも掲載してます。

 

平成30年度・第40回 三重県海の子作品展 審査講評(三重県美術教育研究会 後藤みちる)

 第40回三重県海の子作品展に入賞された皆さん、おめでとうございます。
 また、三重県各地から、たくさんのご応募をありがとうございました。海の子展の審査をさせていただきながら、海に恵まれた三重県で育ったからこそ描ける海の魅力や体験の豊かさを、皆さんの絵を通して改めて感じました。

 小学校の部で三重県知事賞を受賞した志摩市立神明小学校6年の奥野聖さん『海の生き物』は、伊勢海老の姿をていねいに観察し、まるで動き出しそうなほど生き生きと描いています。また、絵の具を混色して本物に近い色を作り出し、ヒオウギ貝と伊勢エビを色鮮やかに表現しています。
 また、三重県教育委員会賞を受賞した紀北町立三浦小学校5年の山本莉夢さん『今日は大漁だ!』は、祖母とともに朝の市場を訪れた時の活気溢れる様子を描いています。市場で働く人々や種類別に分けられた水槽の中の魚たちが一匹一匹ていねいに描かれている様子から、働く人々や魚に対する作者の関心や愛情が感じられました。
 中学校の部で三重県知事賞を受賞した尾鷲市立尾鷲中学校1年の芝田麗楓さん『老漁夫の熟練技』は、夏の暑い日差しの下、網の手入れを黙々と行う漁師の姿を、黒、朱、黄金色を用いて描いています。その洗練された配色と構図からは、絵画でありながらもデザイン画のような美しさも感じられます。
 また、三重県教育委員会賞を受賞した鈴鹿市立大木中学校2年の田中辰海さん『寒い冬ののり作業』は、竹杭が沖のほうまで続く遠近感のある構図で描き、白い空と暗い海の色からは、しんと冷え切った空気と冷たい水の温度まで感じられました。

 小学校の部では、尾鷲の特産品である秋刀魚が次々に干されていく様子を、まだ水分を含んだ重量感をもって描いた芝田翔真さんの作品、マンボウ、カツオ、イシダイなどの三重の魚を画面いっぱいにのびのびと描いた西理那さんの作品、市場を訪れた際、大きな氷を運ぶ漁師の姿に驚いた素直な気持ちが伝わってくる阪田奈々さんの作品、訪れた大淀の港で海面に映る船の色を鮮やかに描いた村田夏姫さんの作品、練習船しろちどりを感動と憧れを持ってていねいに描いた山本桔平さんの作品が入賞しました
 中学校の部では、まだ暗い中を出航した船が仕事を終えて帰港した時の様子を、まぶしい日差しと安堵感をもって描いた伊藤真弥さんの作品、天気が崩れ慌てて引き返す船の様子を、激しい水しぶきと緊迫感とともに描いた柴垣美郷さんの作品、深い海に浮かぶ大きくて美しい船を透視図法を用いて表現した鈴木陽大さんの作品、作業着の青、網の青、海の青を質感や量感、透明感をもって描いた古田彩羽さんの作品、白子港の漁船と船着場の様子をよく観察し、一つ一つの物をていねいに愛情を込めて描いた藤原梨帆さんの作品が入賞しました。

 最後に、この作品展を通して海と共にある三重県民の心と暮らしがいつまでも豊かでありますことと、多くの命を育む海に感謝の気持ちを込めまして審査の講評と致します。