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平成27年度・第37回 三重県海の子作品展 審査講評(辻村 岳)

 「三重県海の子作品展」は、本年度で37回目を迎えることとなりました。今年も例年通り、豊かな色彩を用い、海の生き物や、海に生きる人々の姿が生き生きと表現された作品が数多く見られました。

 小学生の部では、自分が海で魚たちと出会ったときの思い出を素直に表現した作品や、鮮やかな色調で海の生き物や、海で働く人たちの作業の様子を熱心に描いた力作が数多くみられました。
 小学生の部で知事賞を受賞した尾鷲市立尾鷲小学校6年の 中﨑ひかる さん『尾鷲 小サバのみりん干し』は、小サバを丁寧に干していく地道な作業が、透明感のある雰囲気の中、落ち着いた色調で実にすがすがしく表現されています。また、小サバを干すカゴの持つ立体感や遠近感によって、この作業そのもののリアルな感じが見事に引き出されており、地道な作業を表現したにもかかわらず、見る人に晴れやかで澄み切った、何ともいえない心地良い空気感を与えてくれる素晴らしい作品となりました。
 また、三重県教育委員会賞を受賞した尾鷲市立宮之上小学校5年の 東 佑丞 さん『つきじの市場』は、築地の市場に並べられた様々な魚の様子を、自分の気に入ったアングルで切り取り、その思い切った構図と美しい色彩とが見事に響きあっています。まるでカメラのファインダーから覗いたような大胆な画面構成と鮮やかな色彩のコラボが、見る人に鮮烈な印象を与える素晴らしい作品となりました。

 中学生の部では、落ち着いた色調をベースに、海に生きる人たちの姿を、繊細な描写で熱心に表現した力作が数多く見られました。
 中学生の部で知事賞を受賞した、尾鷲市立尾鷲中学校3年の 伊藤 乃愛 さん『海と生きる』は、水揚げされ、次々と流れてくる魚を極めて写実的に表現しており、その技術力の高さは特筆に値します。また、手前の魚たちと、奥で作業をする人たちの遠近のコントラストが、生き生きと力強く、そしてたくましく作業をする人たちの様子を、見る人にダイレクトに伝えてくれる素晴らしい作品となりました。
 また、中学生の部で三重県教育委員会賞を受賞した鈴鹿市立白子中学校2年の 平澤 咲良 さん『朝の港』は、船上で力強く作業をする人たちの姿が繊細かつ大胆なタッチで表現され、海に働く男の人たちの実に頼もしい雰囲気が、見る人にひしひしと伝わってきます。船上でたくましく働く人たちが、まるで今にも動き出しそうな様子が、朝の港の雰囲気とともに表現された見事な作品となりました。

 知事賞と三重県教育委員会賞の作品については、以上のとおりですが、他の入賞作品も素晴らしいものばかりで、各賞の決定については、かなり選考作業を難航しましたことをここに申し添えます。
 最後に、この作品展が今後とも長きにわたって継続され、発展していくことを願うとともに、三重の海がいつまでも美しく、そして豊かなものであり続けることを祈って講評を終えることとします。