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平成24年度・第34回 三重県海の子作品展 審査講評(三重県美術教育研究会 辻村 岳)

「三重県海の子作品展」は、本年度で34回目を迎えることとなりました。今年も例年通り、豊かな色彩を用い、海の生き物や、海に生きる人々の姿が生き生きと表現された作品が数多く見られました。

小学校の部では、海での家族との思い出を素直に表現した作品や、明るい色調で海の生き物や漁船、あるいは海で働く人たちの作業の様子を、大胆かつ繊細に描いた力作が数多くみられました。
小学校の部で三重県知事賞を受賞した尾鷲市立宮之上小学校6年の世古千夏さん『さんまの丸干し』は、さんまを丁寧に干していく地道な作業が、非常に透明感のある色調で明るく、さわやかに、そして実にすがすがしい雰囲気で表現されています。また、作業している女の人の、豊かな海に対する喜びの表情までもが見事に表現されており、見るものに晴れやかな印象を与えてくれる素晴らしい作品となりました。
また、三重県教育委員会賞を受賞した尾鷲市立矢浜小学校5年の酒井迅輝さん『カツオ一本釣り』は、海の男たちが豪快にカツオを一本釣りする様子を、上からのアングルで見事にとらえていますが、その大胆な手法は大変効果的であり、見るものに強い印象を与える素晴らしい作品となりました。

中学校の部では、落ち着いた色調をベースに、海に生きる人たちの姿を、繊細な描写で熱心に表現した力作が数多く見られました。
中学校の部で三重県知事賞を受賞した、鳥羽市立鳥羽東中学校2年の中村陸さん『伝統を受け継ぐもの』は、海の透明な感じや、水面がキラキラと輝く様子を見事に表現しつつ、海女さんたちが海の中で微笑んだような表情を浮かべながら、生き生きと、力強く、そしてたくましく漁をする様子が見るものにストレートに伝わってくる素晴らしい作品となりました。
また、中学校の部で三重県教育委員会賞を受賞した尾鷲市立尾鷲中学校1年の安藤優真さん『貝の計量作業』は、カゴに入れられた貝の様子が繊細なタッチで見事に表現され、貝の計量作業を黙々と続ける海の男の人の、集中した雰囲気が伝わってくる見事な作品となりました。

知事賞と教育委員会賞の作品については以上のとおりですが、他の入賞作品も素晴らしいものばかりで、各賞の決定についてはかなり選考作業に難航しましたことをここに申し添えます。
最後に、この作品展が今後とも長きにわたって継続され、発展していくことを願うとともに、三重の海が、いつまでも美しく、そして豊かなものであり続けることを祈って講評を終えることとします。